「良い姿勢=背筋を伸ばす」は本当か? ― 空海坐像から考える、日本人の「座る」身体
先日、上野にある東京国立博物館へ行ってきました。
今回、私には特に見たいものがありました。
それが・・・
「空海の坐像」
です。
展示室に入り、実際にその姿を目の前にしたとき、
私が最も気になったのは顔の表情でも衣の造形でもありませんでした。
「どう座っているのか」
そこでした。
正面から見るだけでは分かりません。
私は像の横へ回り、そこから15分ほど、
ずっと空海の座る姿を眺めていました。
おそらく普通に美術鑑賞をしている人とは、
かなり違う見方をしていたと思います。
骨盤はどうなっているのか。
腰は反っているのか。
胸郭はどこにあるのか。
頭部は身体に対してどう乗っているのか。
背骨はどのような線を描いているのか。
身体を指導している人間として、どうしてもそこを見てしまいます。
そして横から長い時間眺めていて、非常に興味深く感じたことがありました。
空海坐像は、いわゆる「胸を張った良い姿勢」ではなかったのです。
胸椎には丸みがあります。
胸を前方へ突き出しているわけでもありません。
衣に覆われているため、もちろん腰椎そのものの形状を直接確認することはできません。
それでも全体のシルエットを見る限り、腰を大きく反らせ、
腰椎の前弯を強調して胸を持ち上げるような座り方には見えませんでした。
むしろ腰部はフラットに近く、その上に少し丸みを持った
胸郭が乗っているように私には見えました。
そして、その姿を見ながら私は思いました。
「これは、私がこれまで伝えてきた重力と体の構造を加味した姿勢と同じだ」
と。
「姿勢を良くしてください」と言うと、なぜ胸を張るのか
トレーニングの指導をしていて、
「良い姿勢をつくってみてください」
と言うと、多くの人が似たような動きをします。
胸を張る。
肩を後ろへ引く。
背筋を伸ばす。
そして腰を反る。
本人としては、これが「姿勢を正した状態」です。
確かに横から見れば、背中は丸まっておらず、胸も高くなります。
写真を撮れば「姿勢が良い」ように見えることもあります。
しかし私は以前から、この姿勢に疑問を持っています。
なぜなら、胸を張り、腰を反らせてつくった姿勢では、
身体をその位置に維持するために筋肉を働かせ続けなければならないことがあるからです。
試しに椅子へ座ってみてください。
そして、
「背筋を伸ばそう」
「姿勢を良くしよう」
と思いながら、胸を張ってみてください。
腰を少し反り、肩を後ろへ引きます。
その姿勢でしばらく座っていると、背中や腰に「姿勢を維持している」
という感覚が出てくる人がいると思います。
では、その状態で30分、1時間
座り続けられるでしょうか。
ここで考えたいのは、
良い姿勢とは、見た目が真っ直ぐな姿勢なのか。
それとも、
余計な筋力を使わず、長くそこに居続けられる姿勢なのか。
ということです。
背骨は、そもそも真っ直ぐではない
「背筋を真っ直ぐにする」という言葉があります。
しかし、人間の脊柱はもともと一本の真っ直ぐな棒ではありません。
頸椎、胸椎、腰椎には、それぞれ自然な湾曲があります。
一つ取り上げると、胸椎は、本来後方へ丸みを持っています。
つまり胸椎が屈曲方向へカーブしていること自体は、異常でも悪い姿勢でもありません。
ところが私たちは、背中に丸みが見えるとすぐに、
「猫背だ」、「背筋を伸ばした方がいい」、「胸を張った方がいい」
と考えたり、指摘したりします。
もちろん、頭が大きく前へ落ち、胸郭が潰れ、
呼吸がしにくくなっているような“過度な”姿勢を放置すればよいという話ではありません。
問題は、
「丸みがあること」と「崩れていること」を同じものとして扱ってしまうことです。
丸みがあっても、身体全体として重さが適切に支えられている状態があります。
逆に、見た目には胸を張って真っ直ぐに見えても、
腰や背中の筋肉で必死にその形を維持している状態もあります。
空海坐像を横から眺めながら私が強く感じたのは、まさにこの違いでした。
背中には丸みがある。
でも、崩れているようには見えない。
胸を張っていない。
でも、弱々しくも見えない。
腰を強く反らせていない。
それでも、身体全体には静かな安定感があります。
「丸いのに、崩れていない」
ここが非常に印象的でした。
私が伝えてきた「腰を反らない姿勢」
私は普段の指導でも、腰を反らせて姿勢をつくることを基本にはしていません。
「骨盤を立てましょう」
という言葉もよく使われますが、骨盤を立てることと腰を反ることは同じではありません。
骨盤を立てようとして腰椎の前弯を必要以上に強くし、肋骨を前へ突き出し、胸を張る。
こうなると、身体は“真っ直ぐ”に見えるかもしれません。
しかし同時に、身体の前面と背面に余計な緊張が生まれることがあります。
私が考える座る姿勢では、もっと身体の重さそのものを利用します。
坐骨で座面を感じ、骨盤周辺を必要以上に固めない。
腰を反って上半身を持ち上げないし、胸郭を前へ突き出さない。
肩を無理に後ろへ引かない。
そして、その上に頭がある。
大切なのは、
「正しい形を筋肉でつくること」ではなく、
「骨格の重さがどこへ落ちているのか」
だと考えています。
上半身の重さが骨盤を通り、坐骨を通って座面へ伝わっているか。
立位ならば足裏にしっかり重さが載っているのか。
身体の各部位が大きく前後へずれていなければ、
姿勢を保つために必要以上の筋力を使わなくて済みます。
これは「脱力してグニャグニャになる」という意味ではありません。
必要な筋肉は当然働いています。
ただ、
姿勢を良く見せるための力を、必要以上に身体へ自らの負荷を加えない。
ということです。
空海坐像を15分横から見続けて感じたこと
美術館では普通、一つの作品を15分間も
横から見続ける人はあまりないかもしれません(笑)
でも今回は、それくらい見ていたくなりました。
正面から見ると、衣や手、顔の表情に意識が向かいます。
しかし横へ回ると、身体の重なり方が見えてきます。
頭、胸郭、骨盤。そして座面。
それらが前後にどう配置されているのか。
私はそこを何度も目で追っていました。
そこで改めて感じたのが、
「姿勢をつくっている感じがしない」
ということでした。
胸を張って威厳を表現しているわけではない。
腰を反らせて身体を大きく見せているわけでもない。
だからといって、前へ崩れ落ちてもいない。
なんとなく、心も体も静かに座ってい感じ。
そして、威圧より安定して見える。
私はこの「ただ座っている」という状態にこそ、
身体操作として非常に大切なものがあるように感じました。
現代人は、良い姿勢を「何かをすること」でつくろうとします。
胸を張ったり、腹筋を締めたり、顎を引く。
肩甲骨を寄せたり、骨盤を立てたり..。
一つ一つは目的によって必要になることもあります。
しかし、それらを全部意識して座れば、身体は「座っている」のではなく、
「良い姿勢という形を維持する作業」
を始めてしまいます。
空海坐像から私が感じたのは、その逆でした。
何かを足して姿勢をつくるのではなく、
余計なものを取り除いた結果として、身体がそこにある。
そんな座り方に感じました。
そこで合点のいった「含胸抜背」
空海坐像の胸郭と背中を見ていて、私が連想した言葉があります。
中国武術で使われる、
「含胸抜背(がんきょうばっぱい)」
です。
含胸抜背は、特に太極拳などで身体の使い方を説明するときに使われる言葉です。
ただし、ここで誤解してはいけません。
含胸とは、背中を丸めて猫背になることではありません。
胸を力いっぱい凹ませることでもありません。
現在の太極拳の説明では、胸を無理に張らず、胸と背中をゆったり保ち、
背面にも広がりを持たせるような身体の要求として説明されています。
胸を前へ突き出してしまえば、肩や背中にも緊張が生まれます。
それに対して、胸郭前面を過剰に持ち上げず、背中側にも広がりを持たせる。
私はこの身体感覚を、単純な「猫背」とはまったく別のものとして捉えています。
胸椎には丸みがある。
しかし頭が前へ落ちているわけではない。
胸郭が潰れているわけでもない。
背中は丸いけれど、狭くなっていない。
むしろ、
背面に広がりがある。
これは私が空海坐像を横から見て感じたものと、とてもよく似ていました。
空海と中国、そして含胸抜背
ここで、とても興味深い想像が生まれます。
空海は804年、遣唐使船で唐へ渡りました。
そして長安で密教を学び、恵果和尚から教えを受け、日本へ帰国します。
ちなみに、博物館には恵果の絵もありましたが、空海と同じ姿勢でした。
ただ空海の坐像の方が年齢的に若く体に張りを感じました。
つまり空海という人物は、日本の中だけで思想や修行法を形成した人物ではありません。
当時の最先端でもあった中国(唐)に実際に渡り、
その文化や思想、宗教に直接触れた人です。
一方、「含胸抜背」という言葉も中国の身体文化の中で伝えられてきたものです。
そう考えると、
「もしかすると何かつながりがあるのではないか」と考えたくなります。
私自身、空海坐像を見ながらこのことを想像しました。
もちろん、「含胸抜背」は、後世の太極拳の言葉ですので、
空海と「含胸抜背」が直接はつながっているわけではないですが、
その考えは時代を超えて伝わっているのではないでしょうか?
空海は宗教のことだけを学んできたわけではないはずです。
それは、密教は心と身体の鍛え方を伝えている教えだからです。
その教えを日本で広めた重要な人物として空海を見ています。
体について空海が受け継いでいるものの一つに呼吸法があります。
それは現代にももちろん残っています。
だからこそ姿勢という体についてもヒントがあると私は考えています。
それぞれを直接一本の線で結ぶ証拠はなくても、
胸を張って身体を固めるのではなく、胸郭前面を収め、
背面に広がりを持たせながら身体の中心を安定させる
という身体のあり方に、どこか共通したものを見ることはできます。
歴史を考える面白さは、何でも「昔から同じだった」と決めつけることではありません。
分からないものは分からないとしたうえで、
今、自分の身体で確かめられるものと照らし合わせてみる。
そこから新しい問いが生まれることに意味があると思っています。
「胸を張る」と「胸が開く」は違う
含胸抜背を考えると、もう一つ大切なことに気づきます。
それは、
胸を張ることと、胸が開いていることは同じではない
ということです。
胸を開こうとして、胸骨を前上方へ持ち上げ、肩甲骨を後ろへ強く寄せる。
すると見た目には胸が大きく開いたように見えます。
しかし、そのために背中が狭くなり、肩周辺が緊張してしまうことがあります。
呼吸をしてみると、胸の前側だけが動き、背中や脇へ呼吸が入りにくい人もいます。
一方で、胸を前へ突き出すことをやめ、背中を広く保ったまま呼吸すると、
胸郭は前だけではなく横や後ろにも動くことができます。
これは見た目の「胸を張る」とは違います。
外へ大きく見せるのではなく、
身体の内側に動ける余地を残す。
私は含胸抜背を考えるとき、この「余地」が非常に重要だと思っています。
空海坐像の姿にも、私は同じような余地を感じました。
固めていない。しかし崩れてもいない。
静かだけれど、閉じていない。
それは、以前の記事で書いた「居つかない身体」ともつながります。
座っていることと「居つく」ことは違う
武術では「居つく」という言葉があります。
身体の重さや意識が一ヶ所に固定され、次の動作へすぐ移れなくなった状態です。
以前、歩行と運足について書いたときにも触れましたが、
「居つかない」というのは、常に動き続けることではありません。
見た目には止まっていても、身体の中に動ける余地が残っていれば、
居ついていない状態はあります。
これは座る姿勢でも同じではないでしょうか。
胸を張る。
腰を反る。
腹筋を固める。
肩甲骨を寄せる。
そうして「正しい姿勢」を完成させると、
その形から動くためには一度どこかの力を抜かなければなりません。
つまり、
姿勢を固定することによって、次の動作への自由を失っている
場合があります。
一方、身体の重さを坐骨へ預け、股関節や腰回りに余計な緊張をつくらず、
胸郭にも動ける余地を残して座っていれば、そのまま身体を前へ運ぶことも、左右へ向くこともできます。
安定している。
でも、固定されていない。
私は、これが「座る身体」にとって非常に重要だと考えています。
良い姿勢は「止まった写真」では分からない
現代では姿勢を横から撮影し、
耳。
肩。
股関節。
膝。
足首。
などの位置を線で結んで評価する方法があります。
もちろん、それによって得られる情報もあります。
しかし、人間の身体は本来、静止画ではありません。
呼吸しています。
わずかに揺れています。
重心も常に微細に移動しています。
次の瞬間には立つかもしれないし、振り向くかもしれない。
そう考えると、本当に良い姿勢とは、
一枚の写真で美しく見える姿勢ではなく、そこから自由に動ける姿勢
なのではないでしょうか。
これは私が身体を指導するときに大切にしている考え方の一つです。
立っているときも。
歩いているときも。
座っているときも。
形を固定するのではなく、
重さをどこで受け、どこへ逃がし、次の動作へどうつなげられるか。
身体は常にその連続の中にあります。
長く座るための姿勢という視点
空海という人物を考えたとき、「座る」
という行為をもう一つ違った角度から考えることができます。
それは、
長く座る
ということです。
修行や瞑想では、短時間だけ美しい姿勢をつくればよいわけではありません。
一定時間、その場所に座り続ける必要があります。
もし「正しい姿勢」を維持するために腰背部の筋肉を強く働かせ続けなければならないとしたら、
時間が経つほど疲労していきます。
疲れてくれば、身体そのものへ意識を取られます。
腰がつらい。
背中が張る。
肩が疲れる。
姿勢が崩れてきた。
また胸を張らなければ。
これでは、座ることそのものが目的になってしまいます。
長時間座るためには、
筋肉で形を維持するよりも、骨格と重力の関係を利用する
という発想が必要になります。
重力は常に身体を下へ引いています。
それに逆らって身体を上へ持ち上げ続けるのではなく、
その重さを骨盤から坐骨へ、そして座面へ預ける。
そうすると、身体を支えるための筋活動を必要最小限にできます。
ここに、私が考える「良い座り方」の一つの答えがあります。
一度、「良い姿勢」をやめて座ってみる
ここで実際に試してみてください。
まず椅子へ座ります。
そして、
「良い姿勢をしてください」
と言われたときに自分が普段する姿勢をつくってみます。
胸を張るかもしれません。
腰を反るかもしれません。
肩を後ろへ引くかもしれません。
その状態でしばらく呼吸してみてください。
どこに力が入っているでしょうか。
腰。
背中。
首。
肩。
腹部。
何も正解を決めず、ただ観察します。
次に、一度全部やめます。
坐骨で椅子を感じます。
骨盤の上に上半身の重さを預けます。
腰を反らせようとしません。
胸を張ろうともしません。
肩甲骨も寄せません。
ただし、頭だけが前へ落ちて身体が潰れないようにします。
胸椎に本来ある丸みも、無理に消そうとしません。
そして呼吸します。
胸の前だけではなく、脇や背中にも呼吸が広がる余地があるか感じてみます。
この状態で、
前へ動けるか。
左右を向けるか。
立ち上がれるか。
試してみてください。
大切なのは、
「どちらが正しい姿勢に見えるか」
ではありません。
どちらが余計な力を使わず、しかも次の動作へ移りやすいか。
そこを感じることです。
「姿勢を正す」から「身体を置く」へ
空海坐像を15分ほど横から眺めながら、
私は自分がこれまで指導で伝えてきたことを、
別の角度から確認しているような感覚になりました。
腰を反って身体を立てない。
胸を張って姿勢をつくらない。
身体の重さを下へ預ける。
胸郭には自然な丸みと広がりを残す。
そして、安定しているけれど固まらない。
私が身体を通して伝えてきた姿勢と、目の前の空海坐像の姿が重なって見えたのです。
もちろん、この坐像が空海本人の身体を解剖学的に正確に再現しているとは限りません。
肖像彫刻には、宗教的・造形的な意味があります。
また、衣の下に隠れている骨盤や腰椎の角度を像だけから断定することもできません。
それでも、
この姿が長い時間をかけて「空海の坐る姿」として表現され、伝えられてきた
という事実そのものは、私にとって非常に興味深いものでした。
もし、良い姿勢とは「背筋を真っ直ぐに伸ばすこと」なのであれば、
なぜこの像はもっと胸を張り、腰を反り、背中の丸みを消した姿で表現されなかったのでしょうか。
私はそこに、日本や東アジアの身体文化を考えるヒントがあるように感じています。
良い姿勢とは、
身体を上へ引き上げ続けることではない。
胸を張ることでもない。
腰を反ることでもない。
そして、身体を固めることでもない。
重力の中に身体を無理なく置くこと。
上半身の重さを骨盤が受け、その重さをさらに下へ渡していく。
必要以上の力を使わないから、呼吸する余地がある。
固めていないから、次に動くこともできる。
そういう身体こそ、私は「良い姿勢」と呼びたいと思っています。
1000年以上前の人物から、現代の姿勢を考える
私たちは新しい身体の知識を求めるとき、
最新の研究や新しいトレーニング方法に目を向けます。
それはもちろん大切です。
しかし一方で、昔の人がどのように立ち、座り、歩き、
身体を扱ってきたのかを見ることにも、大きな意味があると私は思っています。
今回、東京国立博物館で空海坐像を見たことで、それを改めて感じました。
私は空海坐像を見て、
「昔の人はみんなこの姿勢だった」
と言いたいわけではありません。
「この姿勢だけが唯一正しい」
と言いたいわけでもありません。
ただ、
現代では当たり前のように言われている、
「良い姿勢=胸を張り、背筋を伸ばす」
という考え方を、一度疑ってみてもいいのではないでしょうか。
背中に丸みがあってもいい。
腰を反らなくてもいい。
胸を張らなくてもいい。
それでも、身体の重さが適切に支えられ、呼吸ができ、必要なときに動くことができる。
むしろ、その方が自然に長くそこに居られることがあります。
以前の記事では、筋肉で生まれた力を身体の中へ「こもらせる」のではなく、
外へ伝えることについて書きました。
そして歩行では、足で無理に身体を動かすのではなく、
身体の重さが移動した結果として「足が運ばれる」という考え方について書きました。
座ることも、私は同じだと思っています。
余計な力で身体を操作しすぎない。
重力と戦うのではなく、利用する。
身体を固定するのではなく、安定の中に動ける余地を残す。
立つ。
歩く。
座る。
一見まったく違う動作ですが、その根底には同じ身体の使い方があるのかもしれません。
良い姿勢とは「頑張って維持する姿勢」ではない
東京国立博物館で空海坐像を見ながら、最後に私の中に残ったのは、とても単純な疑問でした。
良い姿勢とは、頑張って維持するものなのだろうか。
もし、その姿勢をつくるために常に腰を反り、胸を張り、肩を引き、
筋肉を緊張させ続けなければならないのなら、それは本当に身体にとって良い姿勢なのでしょうか。
良い姿勢とは、もっと静かなものなのかもしれません。
身体の重さを受け入れる。
必要な場所へ預ける。
胸郭の丸みを無理に消さない。
腰を反って上へ持ち上げない。
呼吸できる余地を残す。
そして、必要になればいつでもそこから動ける。
「姿勢をつくる」のではなく、「身体がそこに居られる状態をつくる」。
空海坐像を横から15分眺め続けながら、私が感じていたのは、まさにそのことでした。
1000年以上前を生きた空海の姿と、私が今、身体の指導を通して伝えている姿勢。
もちろん、その二つを簡単に同じものだと言うことはできません。
それでも目の前の像を見たとき、
「やはり身体は、こういうところに落ち着いていくのではないか」
と私は感じました。
背筋を伸ばすことだけが、良い姿勢ではありません。
胸を張ることだけが、堂々とした姿勢でもありません。
身体の重さが自然に下へ通り、余計な緊張がなく、それでいて崩れない。
静止しているのに、固まっていない。
その身体には、まだ動く余地があります。
もしかすると日本人が昔から大切にしてきた「座る」という行為の中には、
現代の私たちが忘れかけている身体の使い方が残されているのかもしれません。
そしてそれは、美術館の中だけにあるものではありません。
今日、椅子に座るその瞬間から確かめることができます。
一度、「背筋を伸ばさなければ」という意識を手放してみてください。
そして、
自分の身体の重さが、どこへ落ちているのか。
そこから「座る」ということを、もう一度感じてみてはいかがでしょうか。
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2025.01.28スポーツにおけるケガ...スポーツをしていると、常にケガのリスクを考えな...
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2025.01.25スポーツにおけるケガ...スポーツをしている方にとって、ケガはできるだけ...
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2025.01.24凄いクライアントさん...クライアントさんの中で現在最もパーソナル頻度の...
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2025.01.21スポーツでインソール...普段使いの靴にインソールを使用する場合、サイズ...
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2025.01.17ストレッチポールの効...ストレッチポールとは、身体のケアを目的として使...
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2025.01.09ストレッチにおすすめ...ストレッチは体の柔軟性を高めるだけでなく、疲労...
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2025.01.01パーソナルジムの体験...パーソナルジムを選ぶ際、費用やトレーナーとの相...
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2024.12.312024年、年末のご挨拶2024年も最後の1日となりました!本年もパーソナル...
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2024.12.28コーディネーショント...「コーディネーショントレーニング」というトレー...
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2024.12.21ウォーミングアップの...運動時のパフォーマンス向上やケガの予防に欠かせ...
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2024.12.13インナーマッスルを鍛...インナーマッスルは、身体の深層にある骨や関節を...
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2024.12.09平泳ぎが上手くなる蹲...本日は、山形からお越しのスイミングを習っている...
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2024.12.09インナーマッスルを鍛...インナーマッスルとは、身体の深部に位置する深層...
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2024.12.05トレーニングにおける...トレーニングを行う際は、鍛えるだけではなくしっ...
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2024.12.01応急処置の基本であるR...スポーツでケガをした際は、迅速かつ適切な対応が...
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